「パートナーシップセミナー(第3回)」開催レポート

令和元年度女性活躍推進事業「パートナーシップセミナー」

         第3回「高橋ゆき流“楽ラク家事術”を通じて一歩進んだパートナーシップへ」

<開催レポート>

令和元年11月16日(土)13時30分~16時

 

家事が負担で笑顔を忘れていませんか?あれもやらなくては、これもやらなくてはと、義務感だけで家事をしては身も心も疲れてしまいます。

パートナーシップセミナーの最終回は、家事代行サービス株式会社ベアーズの取締役副社長で家事研究家の高橋ゆきさんを講師にお招きし、今日からすぐに実践したくなる夫婦で家事を楽しくする秘訣を学びました。

 

●原体験は、祖母との暮らしと香港でのある出会い

(まずは高橋さんの自己紹介から)

私は夫と二人で家事代行サービス産業を日本の新しい暮らしのインフラにしたいとベアーズという会社を20年前に創業し、さらに17年前から家事研究家としても活動していますが、楽しんで家事をこなす今の私の原点は高校生の時に遡ります。

私は、両親が共働きでほとんど母方の祖母に育てられました。その祖母が、私が高校生の時に脳梗塞で倒れ、介護が必要になったのです。当時は介護という意識はなく、大切な祖母だから当然という思いでしたが、高校生活をエンジョイしながら祖母のサポートとなると、効率的に楽しくやらないと続きません。ということで、自然に色々な工夫をするようになったのです。

 

さらに、家事代行サービスという仕事につながる大きな経験がもう1つあります。私は20代の頃、香港の企業に採用され、夫と共に香港に渡るという大きな決断をしました。そんな矢先に妊娠が発覚したのです。私にとって待望の出来事だったにもかかわらず、最初に頭をよぎったのは、香港には誰も育児を手伝ってくれる人がいないという不安でした。しかし結果的には、私は香港でスーザンというフィリピン人のメイドさんに出会うことになり、彼女が私たち家族を本当に献身的にサポートしてくれました。そのおかげで私は異国の地にあっても、自分らしく働くことができ、さらに彼女から、パートナーシップというものが他人同士でも構築していけるという大切なことを学んだのです。その後、日本に帰国した私たちが、スーザンのような人が日本にたくさん増えてほしい、ということで始めたのがベアーズになります。

 

●掃除の基本は「あわてず、あせらず、やさしい気持ちで」

掃除は「あわてず、あせらず、やさしい気持ちで」する事が大切です。家事は嫌な時にするものではなく、愛がもりもりしてる時にするもの。特に体調の悪いときに家事はしないのが一番。そう心がけていると自然とやさしい気持ちが湧いてきます。

やさしい気持ちで家事をすると効果がたくさんありますが、まず体が疲れにくくなります。

また、早く終わらせたいと思うと力が入り、ステンレスやバスタブに傷を付けてしまいます。傷が付くとその傷にまた新しい汚れが入りやすくなり、お掃除のサイクルを早めることになります。ですので傷を付けないためにも、やさしい気持ちで力を入れないというのがコツです。

 

●「ありたい姿会議」で家事についての要望をシェアする

お互いの家事についての要望をシェアするため「ありたい姿会議」を夫婦で行うことをお勧めします。私たちはあるべき姿に縛られて、些細なことでけんかすることがよくありますが、あるべき姿ではなく、自分たちがありたい姿で考えましょう。例えば我が家をどれくらいのスパンできれいを保ちたいかをいっしょに考え、「トイレは毎日」でも、「玄関は一週間ごと」、「ベランダはシーズンごとで大丈夫」となると、気持ちがとても楽になり、スケジュールも立てやすくなります。要望をシェアし、ありたい姿を一緒に作り、それを守るということで初めてパートナーシップの定義が整います。

毎日掃除をしないできれいを保つには、1分でできる予防と習慣がおすすめです。例えば水垢は、残った水滴により発生するので、大事なのは水滴を拭とることを習慣にすることです。一番頑固なのはお風呂場の鏡で、鱗状痕といいますが、これは拭いても磨いてもなかなか取れません。鱗状痕は水のカルキ、石鹸、皮脂等が混ざって頑固な汚れになっているので、研磨力のあるもので、やさしく、クルクルと破壊しながら洗い、そして流します。この時にお勧めするのが重曹を液体石鹸でミックスしていただいた重曹ペーストです。重曹には、傷を付けたり、乾くと白浮きするという弱点もありますが、お伝えしたようにやさしく洗い、よく流水で流す。これを繰り返せば今日よりもひどくなることはありません。

さらに洗面台の鏡をきれいにする方法もあります。スポンジに少しだけ水を付け、さっと拭きます。そのあと、ティッシュペーパーを3枚重ねてきれいに畳んで、同じ方向で同じ圧をかけて拭く。これで自分の姿が気持ち良いくらいきれいに映ります。ぜひ試してみてください。

 

●「愛する心」で暮らし方改革

皆さん、愛する心、意識されたことありますか?この気ぜわしい現代で、そういうことを感じないまま過ごしている人がとても多いのですが、そうなると先ほど勉強したばかりの「あわてず、あせらず、やさしい気持ちで」を実践するのはとても大変です。

ゆとりがないと人間が人間らしく生きていくということはなかなか難しいものです。それは心の問題だけではありません。肉体的にも時間的にも、そこにゆとりができることによってやさしい気持ちを取り戻すことができます。やさしい気持ちを忘れそうになったら、今日のセミナーをぜひ思い出していただいて、呼吸を整えて、空を見て、花を見て、そして愛する気持ちをセットしてから二人で家事会議をしてください。やさしい気持ちで家事を二人で楽しんでいただきたいなと思います。

 

●便利アイテムを探して活用する

私の家事の大切なパートナー、軍手雑巾をご紹介します。

まず、ゴム手袋をはめ、その上から軍手を重ねてつけていただきます。液ダレしないよう、必ず下を2~3cm折り返します。これで軍手雑巾になります。

ブラインドの間に両手を入れて拭くと、本当にきれいになります。そのほかにも、リモコン、パソコンのキーボード、観葉植物の葉っぱも、これでやさしく拭いてあげてください。家中、全部に使って、いよいよ捨てるとなりましたら、最後はトイレの出番です。トイレのふたや床、タンクだけでなく、ブラシが入らないところも、ぜひ試してみてください。

探せば便利グッズは色々あります。ぜひお二人で楽しんで探していただきたいと思います。

 

<ワークショップ>

身近なものを使って2点の便利グッズを制作。

①マンゴーカットスポンジ

材料: 市販のスポンジ(片面が固いもの)、道具: カッター、カッター台

カッターでスポンジに2本切れ目をいれる(縦に均等に)。切り離さないように、厚いところに当たったらストップ。この状態で、窓のレールお掃除に便利なレールカットスポンジ。

さらにここから、格子状に横にも3本切れ目を入れる。これでマンゴーカットスポンジのできあがり。五徳周りの掃除、魚焼きグリルの網の部分。複雑な形状にもフィットしてきれいに洗うことができます。

 

②三つ編みストッキング

材料: ストッキング(伝線したものでも大丈夫です)

ストッキングのひざのあたりで二つ折りし、上を縛って、右足、左足、はき口の3つに分かれた状態にする。分かれた3つをゆるく三つ編みし、最後でまとめて縛れば、三つ編みストッキングの完成。蛇口の仕上げ磨き、ブーツや革靴磨き等に役立ちます。事前に水滴を取り除いて、最後に仕上げ磨きとして使用します。


●質疑応答(抜粋)

(セミナーの終盤は、高橋さんに参加者の皆さんからの質問にまとめて答えていただきました。)

Q部屋の匂いの対処法を教えてください。

A.まずは、まめに換気をする。換気する時にただ窓を開けるだけでなく、必ず換気のもう一方の逃げ道を作ってください。家の間取りの問題でどうしても匂いがこもる場合、お勧めするのがオリジナルのエタノールアロマスプレーです。消毒用の希釈されたエタノール200mlに、お好みの100%のアロマエッセンシャルオイルを20滴分ぐらいを入れてください。そうすると消臭、殺菌効果が生まれます。寝室はラベンダー、お手洗いは柑橘系等、場所に応じて香りを演出するのもお勧めです。

 

Q.短時間で料理をするコツは?

A.最初に必ず献立を考えましょう。その上で、その時期に手に入りやすく栄養のある旬のものを中心に作り置きのおかずを用意します。旬のものは値段もリーズナブルでお勧めです。

 

A.毎日の掃除機がけは出来ないのですが、床のホコリが気になります

ホコリは私たちが寝ている間に静かに床に降り積もるので、ぜひ(音に気を付けて)掃除機を朝一番にかけてください。もし髪の毛が気になるのであれば、先ほど紹介した軍手雑巾を両手にはめて手掃除をすると、とてもきれいになります。

 

Q. パートナーとけんかしないで家事分担するには?

A.どこの家庭にもある悩みかと思いますが、パートナーも同じように問題意識を持たないと難しいので、状態が悪化するまで待つのも良いかもしれません。パートナーがどうしようと感じた頃に家事会議をして話し合ってみましょう。楽しみながら家事をしていただきたいので、ただ分担するというより、週替わりで担当を変えてみたりします。その際に「ここ大変だったね」「よくやったね」等、なるべく前向きなワードだけを言葉にすると、二人とも楽しくなるのではないかと思います。

 

―参加者の声―

・夫と一緒にスポンジやストッキングの作業ができたことで夫と近づけた気がする。

・気持ちにゆとりを持って、やさしい気持ちで、まさしくその通りだなと思いました。

・高橋さんがとても楽しそうに話してくださったので、毎日の掃除を楽しくできるのだと、とてもうれしくなりました。家族にも上手に協力してもらいたいです。

・何より前向きに家事をしようと思えた。

・持って帰ることができるグッズを作るなどワークショップもあり、飽きずに講義を受けることができた。

 

 

(アンケートより一部抜粋)

 

 

 

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