パパママサミット2018 開催レポート(第1部)

   

                                                         パパママサミット2018

スタートはいま!我が家の″ちょうどいい″暮らし方・働き方

~「小さい子供のいる暮らし」をふたりで面白くする方法~

1部 トークショー「パートナーとぼくと、子供たち パパに贈るメッセージ」

 

第1部は、タレントのつるの剛士さんをゲストに迎え、天野ひかりさんとのトークショーを行いました。

つるのさんと天野さんは以前に番組で共演していたこともありリラックスした雰囲気で、会場にも和やかな空気が流れていました。

 

-夫婦のコミュニケーション-

とても夫婦仲が良いという、つるのさんご夫妻。

恋人時代と夫婦になってからの関係ではどのような変化があったのでしょうか。

 

天 野「恋人だった時代の二人の関係と、子供が5人産まれた今の夫婦関係は何か変化はありました?」

つるの「付き合っている時はお互い未熟ですからね。やっぱり文化も違う二人が同じ屋根の下で生活を共にするとなると、ぶつかることもたくさんあります。とげとげ同士の二人が喧嘩して反省して、発展して進化していく度にどんどん丸くなっていって、一つの丸になっていくような感じはしますね。奥さんは今の方が素敵ですし、僕も奥さんに刺激を受けて成長していると思います。」

天 野「やっぱり喧嘩はする?」

つるの「今はもう全然しないですね。喧嘩にならない。昔はめちゃくちゃしましたけどね。激しい喧嘩もありました。」

天 野「でもそれがあったからこその仲良しなんだね。」

つるの「そこからお互い話し合って、ここは僕が言い過ぎた、妻の方が言い過ぎたとか、一線を超えていく度にどんどんトゲが取れていって、丸くなっていって…。今はもうこれ以上言ったらやばい!っていうのもわかる。わかりますよね、お互い。」

天 野「よくあるママたちからの相談だと、言いたいことをどういうふうに夫に伝えたらいいかわからないし、遠慮しちゃったり、察してしまったり、ガマンしてしまったりして、ある日爆発してしまうっていう。やっぱり日頃からそういうことは言えるような関係性を作るって大事だね。」

つるの「そうそう、火山と一緒だからね。マグマを溜め込むより、じわじわ出して。お互いコミュニケーションを取りながらガス抜きしていった方がいいと思います。やっぱりコミュニケーション大事ですよね。」

 

―イクメン撲滅運動!?-

番組共演しているときは新米パパ、新米ママでいろいろな相談をし合っていたお二人。そんな中で天野さんはつるのさんのことをこんなふうに思っていたようです。

「昔からメロメロなパパでしたけど、いいパパ”であろうとしている以上に“いい夫”でありたいと思っている印象があります。」

 

“いい夫”ってどんなイメージでしょうか。

いわゆる“イクメン”(子育てに積極的に関与する男性を指す)と呼ばれる夫でしょうか?

イクメンの代表と言われることもあるつるのさんですが、

 

つるの「僕、自分からイクメンなんて言ったことないんですよ。8年前育児休業を取って、社会に戻ったら“イクメン”っていう言葉ができていたんです。当たり前のことをやっているだけなのにイクメンて言われて、違和感があったんです。」

天 野「イクメンにならなきゃパパじゃない、みたいな風潮が良くないんだよね。」

つるの「それがね、またパパたちを苦しめるんですよ。」

天 野「自分はイクメンなんだろうか?みたいな?」

つるの「そうそう。僕はイクメンをやりたくて育児をやっているわけではなくて、当たり前なことだとずっと思っていたんです。育児って夫婦でないとできないんですよ。オムツを変えるのが上手とか、料理ができるからイクメンというわけではなくて。パパたちもお仕事をしているじゃないですか。今、育児をしているのはママかもしれない。パパが子供に関わっていないと育児じゃない、みたいな風潮があるでしょ?でも、仕事をしているのだからできないことがあってもそれでいいと思うんです。その上で、パパがどのくらい子供に関わるかではなくて、ママのケアをすることが結果育児に繋がっていくんじゃないかなって僕は昔から言っているんです。だから、僕は“イクメン撲滅運動”をずっとしているんです。“イクメンパパつるの剛士”って言われても、僕はイクメンじゃない、当たり前の事をしているだけなので、って言います。」

 

つるのさんは「パパがママを応援して、ママが子育てしやすかったり、家族を守りやすいような環境を作る」ということを昔から心掛けているそうです。

天野さんも講演などで子育て中のママにいろいろな相談を受ける中で、「パパがママを応援する」ということがとても大事だと感じているそうです。

 

―「男の家庭訓練」-

二度の育児休業を経験されたつるのさん。パパがママを応援するとはどういうことか、心底理解したのは育児休業を取ったことによるそうです。

 

天 野「育児休暇って言う方もいらっしゃるけど、全然休暇じゃない。外での仕事を休んで家の仕事をするんだからね。」

つるの「一回家庭のことを知ってみようっていう訓練だと思うんですよね。」

 

 

初めて育児休業した時は、奥さんが家で何をしていたか全然わからなかったつるのさん。

 

つるの「男はやっぱり、奥さんが普段どんなことをやっているのか、なんで突然キレるんだとか、なんで毎日カフェにママチャリを停めてしゃべっているのか、なんでインスタグラムに毎日弁当の写真を上げるのかとか、全くわからないんです。全然理解できない。でも僕は育児休業をして全部わかりました!」

 

育児休業の間、つるのさんは赤ちゃんが産まれたばかりの奥さんは24時間水場に立たなくていい、と決めました。そして毎朝5時半に起床、子供たちを起こし、お弁当作り。子供たちが学校に行ったら12時くらいまでは掃除・洗濯などの家事、そこでやっと一息。午後は子供たちが帰宅し、今度は習い事や塾への送り迎え、その間に夕飯の買い物。夕飯を食べさせて片付けをしたらもう午後11時。

子供たちは学校のプリントを提出しなかったり、一生懸命お弁当を作ったのに感想もなかったり…。

 

つるの「経験してみないとわからないんですよ。例えば、ママたちってずーっと人ための料理を作っている、そして自分の料理も自分で作っている。人の料理が食べたくなるんです。」

天 野「食べたくなる。作ってもらった料理っておいしいもの。」

つるの「必然的にランチに行きたくなるんですよ!ランチが楽しみなんですよ。僕もそれを午前中の楽しみとして、家事を頑張るんです。それで妻と一緒にランチに行ったりするんです。その時気付いたんですよ。あれ?これじゃん!ママたちがランチに行きたい気分。今までわからなかったけど、ママチャリが停まっている理由ってこういうことだなー!って。」

天 野「なるほどねー。」

つるの「お弁当だってそう!子供たちはお弁当箱をポンって出しておしまい。誰も褒めてくれない。『いいね!』が欲しいんです。とにかく『いいね!』が欲しいんですよ!『褒めてくれ!誰か!俺の弁当と料理を!』って。そこで気づくんですよ、だからママたちはインスタに上げているんだって!」

天 野「それがわかるってすごい!」

つるの「育休が明けた時、あーやって良かったな、って思えました。」

 

経験をすることでいろいろなことに気付けたというつるのさん。

 

つるの「もちろん僕も、仕事に戻ったら育休中みたいにはできません。でも何が良かったかっていうと、やっぱり『ママの理解者が1人家の中にいる』ということなんです。」

天 野「この大変さをわかってくれる人がいる。」

つるの「それで、ありがとうって心の底から言える。お疲れ様って言える。僕も言われなくても家事や育児ができる。奥さんの気持ちがすごくわかるようになったから、奥さんが突然キレてもその理由がわかる。その安心感が家庭円満ということなんです。」

天 野「なるほど。じゃあ育児休業じゃなくて命名するなら?」

つるの「僕は…家庭訓練。男の家庭訓練。」

天 野「サラリーマンでも、まだまだ育休が取れないパパが多いです。去年は5.14%、20人に1人くらい。」

つるの「一回家庭の事を知ってみよう、っていう訓練だと思うんですよ。企業も、育休から戻った時に、『お疲れさん!おめでとう!どうだった?』というような会社になればいいと思います。」

天 野「会社はそうですね。パパの気持ちとしては?ママを応援するという気持ちになるにはどうしたらいいんだろう?」

つるの「僕の父が銀行員ですごく忙しい時によく言っていたんですよ。『男は仕事だけをしていてはダメなんだ。家庭をしっかり守らないと仕事もうまくいかない。』それがすごく頭に残っていて。僕が育児休業を取るときに、周りに誰も取った人がいない、事務所に言ってもきっと反対される。そのときに親父の言葉がパっと浮かんだんです。それが今はすごくわかるんですよね。仕事ばかりやっていて夫婦のコミュニケーションがなくなるとお互いすれ違ってくるし、やっぱり家庭が基地なんですよ。」

天 野「最近、夫婦ライフバランスっていいなって思うんです。つまり夫婦でバランスを取る。二人でエンジンを持ってバランスを取れば、そのときに一番いい“我が家の形”が作れるんじゃないかなって。」

 

―いくじは育自、きょういくは共育―

 

5人の個性豊かな子供たちを育てているつるのさんから、“親になること”についてお話がありました。

 

つるの「2歳の子もいますけど、やっぱりこっちも経験を積んでいますからね。上の子たちで経験してきたので、何かあっても『あ、はいはいこれね、おめでとうおめでとう』みたいな感じですごく寛大に育児ができている自分がいますね。やっぱり子供ができたからといって、突然親になれないんですよ。今の人たちはすごく真面目だから、子供ができたらすぐ親にならなきゃって肩に力が入っちゃう。それは絶対無理。子供が成長する時に“一緒にどんどん親にさせてもらっている”っていうのかな。僕はそれがすごく大きいんです。自分も子供たちのおかげで成長させてもらっている。だから、育児の“児”は自分の“自”だと思うし、教育は共に育つ、それで“共育”だと僕は思っています。『子供ができたから親にならなきゃいけない!』みたいなのは僕は全然なくて、わからないことはわからない、一緒に勉強しようぜっていうスタンス。ただ人生的にはパパのほうが先輩だから、“パパの経験上こうだったけどどう思う?”っていうような。」

天 野「情報としてね、こういうこともあるよ、こういう道もあるよっていう」

つるの「そういうアドバイスはしてあげたいなって思う。5人子供がいて、全員個性が違うんですよ。だから親としては、子供たちが何に魂がうずいているのか、目が輝いているところをしっかりと見逃さないように日々見ていてあげたいし、後押ししてあげたい。」

 

―第二の人生のための地盤作りー

人生100年時代と言われる昨今、つるのさんは60歳からの人生を楽しみにしているそうです。

 

つるの「僕は妻と付き合っている時間がすごく短い期間で子供ができたので、二人きりの時間っていうのがそんなになくて。だから今子供がいない時間がすごく楽しいんです。仕事でいろいろなロケに行かせてもらっていますけど、例えばおいしいレストランとか、○○のホテルとか旅館とか、僕の中では将来のための下見。」

天 野「奥さんと行くための。」

つるの「もう全部そんなふうに思っている。」

天 野「子供たちはみんなそれぞれ独り立ちさせて、二人で行く。」

つるの「ゆっくり二人で。ライブを見に行ったりとか、演劇を見に行ったりとか、旅に行ったりとか。すごく楽しみ。それが楽しみで今子育てをやっている感じ。でも一番下の子が二十歳になるとき、僕は60歳なので、それまでは終わらないから。」

天 野「おー。若い。」

つるの「60歳からの人生、最高ですからね。だから今は、そこからのスタートを切るための地盤作りです。体力的にも金銭的、経験的なこと、妻との関係も。その第二の人生をいい感じに育てるために、今地盤作りをしている感じ。」

天 野「子育てって毎日追われているだけのような気がするけれど、将来そういうふうな目標があると、そこに向かって一歩一歩前進している感じがするね。」

つるの「そうですね。やっぱり大人が夢を持っていないと、子供には伝わらないと思うんですよ。よく悩み相談みたいなものを受けるんです。どうやって遊んでいるんですか、遊び方がわからないですって。僕ね、そんなに無理して遊ぶ必要はないと思っているんです。僕は自分が楽しいことに子供を付き合わせているだけなので。」

天 野「釣りが好きだから釣りを一緒にとか、山が好きだから山にとか。」

つるの「子供への伝わり方ってあるんですよ。子供って本当に敏感に察知するんで。お父さんが楽しくなさそうだと子供って絶対楽しくないんですよ。」

天 野「なるほど。」

つるの「やっぱり大人が楽しんでいないと子供たちは楽しくないんじゃないかな、と思っているんです。だから子育てがどうとかっていうよりも、まず第一位に夫婦があって、その前に自分がある。自分が楽しく生きていたいっていうのが根本にありますね。だから今でも夢を持っています。」

 

―つるのさんからパパたちへメッセージー

楽しい時間も終わりを迎え、最後につるのさんよりパパたちへメッセージをいただきました。

 

「本当にいつもご苦労様です。自分も。本当にわかります。僕もまだまだごりごりの育児世代なので皆さんと抱えている悩みは一緒です。そんなにイクメンって言葉に振り回されなくていいと思います。イクメン撲滅運動に是非皆さん賛同していただきたいなって。イクメンっていう言葉が言われている社会はまだまだ甘いと思う。それが消えた瞬間に日本のパパは本当のイクメンになる、と僕は思っています。そしてママのケアをしてあげて下さい。それが結局自分に返ってきます。ママだけ頑張っても、パパだけ頑張ってもダメ。たぶんこれが夫婦で頑張っていかなくてはならないところかな。急にパパがイクメンになるなんてありえないと僕は思っています。今、僕がこんなふうなのも、夫婦のコミュニケーションが今の自分を作り上げていると思います。一人目の時はやはり経験ゼロだった。二人目の時に5になった、10になったっていう、それは経験なんですよ、やっぱり。二人で経験して作り上げてきた今なので。いきなりイクメンていうのはありえないと思う。パパが頑張ったからとか、いやママが頑張ったからとかじゃなくて、二人で頑張っていきたいなって僕は思っています。」

 

人は、自分のことは自分で決められるという時に幸せを感じる、と言われています。つるのさんのお話から、ママだからこうでなければ・パパだからこうあるべきという社会のプレッシャーに縛られずに、自分たちらしい生活、自分たちらしい子育てを作っていきたいという思いが会場のみなさんに生まれたのではないでしょうか。

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