パパの育児応援塾~実践編~ 第5回開催レポート

平成28年12月17日(土曜日) 13時30分〜15時40分

◆  第5回「たたかない子育てとは?」講師:高祖常子

 講師の高祖常子さんは三人お子さんをお持ちで、末っ子が20歳を超えているという子育ての大ベテラン。育児情報誌mikuの編集長でもあり、NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの理事も務めていらっしゃいます。

 「たたかない子育てとは?」…今までのテーマと比べて、重たい印象を受けた方もいると思います。

 高祖さんはハッキリと言います。
 「しつけと虐待は違います。保護者が子供のためと考えていても、子供が耐え難い苦痛を感じれば、それは虐待です。」


 
 1週間に1人の頻度で子供が虐待で死亡している、というあまりに衝撃的な内容に、会場は緊張の面持ちです。親から叩かれた経験がある人が約8割、子供を叩いた経験がある親が約6割というデータがありました。「いかに子供の立場に立って考えられるかが大事です。」「体罰をして言い聞かせても、子供に暴力の使用を教えるだけ。その経験が思春期以降の成長にも関わっていきます。」
   
 次に世界のデータを見ると…
「子どもへの体罰、暴力を法律で禁止している国」は51か国あり、年代順で見ると最初に施行した国はスウェーデン、フィンランド、ノルウェーだそうです。この並びを見てもわかりますね。日本でよく子育てしやすいと取り上げられている国ばかりです。
 ただ、意外にもこのスウェーデンですら1960年代では9割の人が体罰をしていたそうです。絵本作家が立ち上がり、国会に働きかけ、やっと成立したそうです。

 さて今回のワークショップは…
『子供が他の子とおもちゃを取り合っている』状況を設定し、4段階に分けて考察していきます。
グループになり、自分の意見を発表し合います。

①「子供にどうしてほしいか、あなたはどうするか」

 子育て中のストレス反応や解決方法について、高祖さんからアドバイスがありました。
いつもの子供の行動でも、その時の親の気持ち次第で対応が変わってきます。「深呼吸」や「数を数える」など自分なりのストレスの爆発を逃がす方法を見つけておきましょう。また、自分がどんな時にイライラしやすいかを把握し、可能なら対処しておきます。

②「その時の子供の気持ち」

③「子供にどんな大人になってもらいたいか」

④「そんな大人になってほしいと思ったら子どもにどう接するか」

 同じシーンでも考え方が変わった人や、やっぱり最初の自分の対応と同じという人。
前半のしつけや虐待の説明の時とは打って変わって、子供の将来を語るときの受講者のパパやママは
誰もがキラキラした顔になるのがわかります。



 
 
 その後、父性と母性がバランスよく必要なこと、しつけの4ステップなどを教えていただきました。


< しつけの4ステップ >

●まずはわが子の気持ちを受け止める →行動の背景には理由がある 

●相手の気持ち、ママとパパの気持ちを伝える →状況の整理、視野の拡大

●方法をアドバイスする、または考えさせる →成長に応じて、選択肢を示す、解決のヒントを与える

●子供が自分で決めて動く! →可能な場合は、できるだけ子供に選択させる

 「認められる」ことで子供の自己肯定感を育つこと。子育てには決して欠かすことのできないキーワードです。今回の講座で、「虐待防止への理解」と「しつけ」について、再認識したご夫婦が多かったように感じました。

アンケート(一部)


・子供の目線に立った考え方が参考になりました。(男性)

・「安全欲求が満たされると外に行く力(活動の原動力)が生まれる」ということを忘れがちなので、改めて心に留めておこうと思いました。(男性)

・夫婦で子育てについて考えることが少ないので良いきっかけになりました。(男性)

・まず、親である自分が満たされていないと、イライラが子供に伝わるのだなと改めて思いました。
 自分も夫も大切にケアして、子供と向き合えたらと思います。たたかれた経験があるので、とても苦しいなぁと思いました。(女性)

・体罰のことは前から気になっていました。北欧の話等、興味深かったです。父性母性の話も印象に残りました。(女性)


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