2月14日(日)、35名の参加者が集い、「笑顔で働き続けたいママへの応援プログラム」の第3回を実施しました。 これまで、講演+ワークショップの構成で進めてきましたが、今回は少し趣向を変え、講師が講演中に参加者に質問を投げかけ、受講生はその答えを考えることで、自分自身の考えを見つめ直していこうという内容です。 さっそく、詩人で社会学者の水無田気流氏による講演がスタートしました。 水無田氏は、主に女性問題や少子化、世代間格差などについて発信している方で、今回は「子供の将来からイマを考える」をテーマに講演いただきました。 【セッション①】 ●水無田氏 「私の幸せ」と「子供の幸せ」って相性悪いと思いませんか?私が幸せになろうとすると、周囲の視線が厳しい世の中ですよね。日本だとなぜ子供を連れて歩いているだけで謝り続けないといけないのでしょうか?社会人として、お化粧をして外見を整えただけでも「母親なのに」と批判されてしまうこともあります。 ●問い 「幸せ」ってどんなイメージですか?思い浮かぶだけ書き出してみましょう。 ●参加者の声 ・自分がやりたいことができること ・会いたい人と会えること ・睡眠できること ・美味しいものをお腹いっぱい食べること ・子供と存分に触れ合えること ・健康であること ・支えてくれる人がいること ・安心できること ●水無田氏 「自由」「時間」「美味しい食べ物」が多く挙がりましたね。幸せな状態について一般的に聞くと、日本人の特徴として、女性は時間と家族の笑顔、一方、男性は自由になるお金を挙げる傾向にあります。男性がなぜ自由になるお金を挙げるかといいますと、日本の家庭がよく「お小遣い制」をとっていることが理由のひとつになっています。稼いでいる割に、自分で自由に使えない人が多いため、自由に使いたいという願望が出ているのではないでしょうか。 また、女性と男性では幸福のイメージは大きく異なっているといえます。女の幸せをイメージすると、家族がいることが挙げられますが、女の幸せは一人では完結できないとも言えます。実は、女の幸せに相当する「男の幸せ」という言葉はあまり聞きません。しいて言うとすれば、「男のロマン」が相当するのではないでしょうか。でも男のロマンと聞くと、一人でいるイメージで、むしろ一人じゃないと確立できないですよね。女性と男性で幸せのイメージが正反対なこと自体に問題があるのではないでしょうか。 【セッション②】 ●水無田氏 日本では、結婚すると「良妻賢母になるべし」という幻想を抱きがちですよね。子供に事件や事故があると、すぐ「母親のせい」という烙印を押されてしまうことは問題です。お母さんは神様ではなく人間なので、母性神話はおかしな話ですよね。 ●問い 良いお母さんの条件ってなんですか? ●参加者の声 ・常に冷静 ・愛情に溢れている ・夫婦関係が良好 ・栄養を考えた料理が上手 ・笑顔で健康 ・ガミガミ言わない ・イライラしない ・ひと通り家事ができる ・優しい ・子供に人生を捧げる ●問い 皆さんの実の母親の点数と、母親としての自分自身の点数を100点満点で評価し、比較してみてください。また、その理由を教えてください。 ●参加者の声 ・実の母親の点数>私の点数の理由 とした人 → 多い 理由) 母親に比べて、できないことが多いから。 ・実の母親の点数<私の点数の理由 とした人 → 少ない 理由) 母親と価値観が合わなくて苦しかったから。 ●水無田氏 皆さん、実の母親より点数が低い傾向にありますね。その理由は「できないことが多い」と挙げる方が多いようですが、ここで覚えておいてほしい事実として、日本のお母さんに要求される家事・育児内容の水準が高いということです。また、要求水準が高くなることにより、家事・育児にかける時間も長くなっています。 【セッション③】 ●水無田氏 先ほど、日本のお母さんに要求される家事・育児内容の水準が高いとお伝えしましたが、その中でも、日本のワーキングマザーは仕事・家事・育児のすべてを合わせた労働時間が圧倒的に長い状態です。男性よりも働いていて、かつ睡眠時間が短いことが明らかになっています。 ●問い 日本のワーキングマザーは、仕事・家事・育児のすべてを抱え込みがちですが、なぜだとと思いますか? ●参加者の声 ・育児に対して、自分が楽をするという発想がないから ・やることが多すぎるから ・家事・育児は女性のものだと教えられてきたから ・家事と育児をアウトソーシングできない ・男性が現実逃避をし、女性が結局やってくれると思っているから ・完璧主義だから ・学校・保育園などのPTA役員もママ中心だから ●水無田氏 アメリカでは、ベビーシッター代が給与控除の対象になっているのですが、そういう事実を知らない人も多いのではないでしょうか。これまで女性が無償でやってきたことへの見直しをする必要があると思います。 日本のワーキングマザーの負担を減らすには、決定権のある50代が変わらといけないです。そもそも、家事・育児に専念する日本の主婦像は、戦後の日本に誕生した概念で、できてからまだ日が浅いものです。 【セッション④】 ●水無田氏 日々、仕事・家事・育児にがんばっている女性ですが、家庭生活満足度を先進国と比較すると、かなり低いことが分かっています。さらに日本の母親の半数以上が自信がないと回答しています。 加えて、子供の抑うつ状態をみても、日本ではうつ状態の小中学生が多いそうです。これだけ子育てに時間をかけても、子供も母親も幸せではないのは、何か間違っているのではないでしょうか。 ●問い 「子供のため」に必要なことってなんでしょうか? ●参加者の声 ・可能性を伸ばしてあげるための費用 ・自己肯定感を高めること ・愛情 ・笑顔でいること ・安心させること ・いつでも味方だよと伝えること ・自立 ・ママも夢を持つこと ・心に余裕を持つこと ●水無田氏 言われた通りのことだけをしてきて、一見良い子に見える子がとても危険。なぜかというと、好奇心が無く、やる気がない子が多くいるからです。マークシート式の学問ばかりしてきたからか、大学で正解のない問いについて考え、人に説明することができない子が多く見受けられます。 実は、子供が社会に出るにあたり、一番のケア資源(相談相手)はお父さんです。夫とのコミュニケーションが乏しいという方が多いですが、お母さん自身が、お父さんを巻き込んでいけるように行動することが、社会でもきちんと生きていける子供を育てることにもなります。 【セッション⑤】 ●水無田氏 以前、第2子を出産された方を対象に調査をしました。すると、第1子の世話や、妻の身の回りの世話は圧倒的に妻のお母さんがやっていることが分かりました。夫が出てくるのは、妻が病気のため子供の世話を行う時くらいです。 実は、休日、お父さんが家事・育児を行う時間が長くなることで、第2子の生まれる確率が増えることが分かっています。ずっとゴロゴロしているお父さんだと10年後に第2子が生まれている家庭は1割で、家事・育児を6時間以上やるお父さんのいる家庭では8割です。 つまり、男性が育児や家事を行うようになれば、少子化にもメスを入れることができるということです。 ●問い 子供の幸せのために、私たちのアクションとして何ができるのかを考えてみましょう。 ●参加者(グループ)の声 Aグループ:子供と一緒に色々な体験をする場所をつくる Bグループ:自分が自立し、幸せになって、多様な価値観を認める Cグループ:サバイバル力養成塾をつくる Dグループ:自分自身もサードプレイスをつくる Eグループ:夫と未来のことを語り合う時間を定期的につくる Fグループ:子供からのメッセージを受け止める Gグループ:日々の中から良かったこと・できたことを見つけて言い合う ●水無田氏 自立という言葉が良く出てきましたが、日本社会って自立を認めないところがあると思いませんか?社会に出ても、組織に従っているわけです。つまり、男性は社会に出ても自立をしているとは言い難い状態なのです。男性が自立をするためには、女性自ら「これ以上できない」ときちんと伝えて、家事と育児を一緒にするようにしないといけません。子供に対しても、お母さんにもできないことがあると伝えることで、子供自身の自立にも繋がるのではないかと思います。 <水無田気流氏の講演に対する感想>
<ワークショップに対する感想>
次回は、本プログラムの集大成となる「交流会」です。第1回から第3回を経てどのように意識が変わったのか?社会に何を伝えていきたいのか?参加者全員でカタチにしていきます!
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